Apps Scriptのデータ保存場所は指定できる? データリージョン対応で変わること
社内ルールや取引先との契約で、データの保存場所に条件を設けている企業があります。Google Workspaceで自動化を使う場合、元の資料だけでなく、プログラムに関わるデータや処理場所も確認対象になります。
Googleは2026年9月16日、Apps Scriptのデータリージョン対応を一般提供したと発表しました。対象の契約では、会社が指定した地域に合わせて、自動化に関わるデータの保存や処理を管理できます。
今回のニュースが特に関係するのは、Apps Scriptを利用し、データを扱う地域について条件がある企業の管理・開発担当者です。 自動化の速度や機能ではなく、保存・処理場所の管理に関する更新です。
データリージョンとは、データを扱う地域の指定
クラウドサービスでは、自分のPCではなく、サービス提供会社の設備にデータが保存され、処理されます。
データリージョンは、そのうち対象となるデータについて、「米国」「欧州連合」などの地域を指定する仕組みです。会社の所在地や、サービスを使う社員の居場所を意味するものではありません。
例えば、日本の会社から利用していても、それだけでデータが日本国内に保存されるとは限りません。
また、ここでは二つの場所を分けて考える必要があります。
- 保存場所:データを保管しておく場所。
- 処理場所:プログラムを動かし、計算などを行う場所。
今回の更新は、この地域指定の対象をApps Scriptにも広げるものです。

Apps Scriptでは、何が対象になる?
Apps Scriptは、Googleのスプレッドシートの集計や、フォームへの回答を受けた通知などを、プログラムで自動化するための開発環境です。「GAS」という略称で知っている人もいるでしょう。
今回の発表で対象に含まれたのは、プログラムのコードや設定と自動実行に関する情報などの保存です。対応する契約では、プログラムの実行も指定した地域で行われます。
ここで注意したいのは、元のスプレッドシート、自動化のプログラム、処理結果の送信先を、すべて同じものとして扱わないことです。それぞれ、適用される設定や対象範囲を確認します。
利用者がプログラムごとに地域を選ぶのではなく、管理者が設定した組織のデータリージョンのルールに従う仕組みです。
日本国内に保存する設定は選べる?
今回の機能で、日本国内を指定できるわけではありません。
Google Workspaceのデータリージョンで案内されている選択肢は、米国・欧州連合・指定なしです。管理画面では欧州連合が「ヨーロッパ」と表示されます。
そのため、「対象データを欧州連合内で扱いたい」という条件には検討材料になりますが、「必ず日本国内で保存する」という条件を、この機能だけで満たすことはできません。
場所を指定できることと、自社の条件に合う場所を指定できることは別です。導入を判断する際は、まずこの違いを確認したいところです。
対象プランで変わる保存と処理の範囲
9月16日の発表では、対応範囲は次のように案内されています。
- Enterprise Plus・Frontline Plus:対象データの保存と処理に対応。
- Education Standard・Education Plus:対象データの保存に対応。
Google Workspaceで何らかのデータリージョン機能を使えていても、Apps Scriptで同じ範囲まで管理できるとは限りません。
「契約が対象か」に加えて、「保存だけでなく処理場所も指定する必要があるか」を分けて確認することが重要です。
外部サービスへ送ったデータは、別に確認する
例えば、Apps Scriptで集計した結果を、別会社の顧客管理サービスへ送っているとします。
Google側で地域を指定していても、送信された後の情報をどこに保存するかは、顧客管理サービス側の仕組みや契約に関わります。Apps Scriptの設定が、送信先の保存場所まで変更するわけではありません。
処理の記録を、別のクラウド環境へ保存している場合も同様です。
確認したいのは、「Google内で完結する処理か」「途中でどこかへ情報を送っているか」です。プログラムの有無だけで判断せず、情報の行き先まで把握すると今回の機能で管理できる範囲がわかります。
既存の自動化が使えなくなることはある?
今回の発表だけを理由に、すべての会社のプログラムが止まるわけではありません。
Googleは、管理者がデータリージョンの詳細設定で、DriveとDocsに関する「指定地域に対応していない機能を無効にする設定」を有効にしている組織について、一部のApps Scriptサービスを2026年9月から無効化すると案内しています。
つまり、地域の条件を厳しく守る設定では、その条件に対応できない機能が制限される場合がある、ということです。
この設定を利用している会社は、既存の自動化で使っている機能が影響を受けないかを、開発担当者と確認する必要があります。

まとめ:まず、自社に保存・処理場所の条件があるかを確認する
Apps Scriptのデータリージョン対応は、自動化の機能を増やす更新ではなく、データを扱う地域を管理するための更新です。
- データリージョンは、対象データの保存・処理地域を指定する仕組みです。
- Apps Scriptのコードや設定などが対象となり、契約によっては実行処理も含まれます。
- 日本国内を指定する機能ではありません。
- 外部サービスへ送った後のデータは、送信先の条件を別途確認します。
- 特定の管理設定を使う組織では、一部機能の制限への注意が必要です。
自社でApps Scriptを使っているからといって、すべての担当者が設定を変更する必要があるわけではありません。保存・処理場所に条件があるか、その条件が今回の対象範囲と合うか。 管理者が判断する際は、そこから確認すると整理しやすくなります。
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