SNSに流れてきた、驚くような動物の動画。ニュースと一緒に拡散される、災害現場の写真。
「本当に撮影したもの? それともAI?」
気になって画像を拡大し、指の形や背景の不自然さを探したことがある人もいるかもしれません。
では、注意して見れば、私たちはAIが作った画像や動画を見分けられるのでしょうか。
2026年10月に公開された画像の研究では、見た目からの判断の難しさが示されました。一方、動画の研究では、生成方法によって見分けやすさが変わる結果も出ています。
そこから見えてくるのは、「もう何も信用できない」という話ではありません。画像を見るだけで判断することには、限界があるということです。
目次
- 「AIが混ざっています」と言われても、判断は難しい
- 動画なら、動きの不自然さで見抜ける?
- 「指が変だからAI」「自然だから本物」で決めていい?
- 拡大して眺める前に、投稿の外側も確かめる
- まとめ:「見抜ける目」だけに頼らない
「AIが混ざっています」と言われても、判断は難しい
2026年10月8日、学術誌「Social Media + Society」に、AI画像と実際の写真を人が区別できるか調べた研究が公開されました。
実験に参加したのは、デンマークの成人2,091人。日常の風景や人物、災害などの画像を見て、それぞれがAIで作られた可能性を判断しました。
参加者には、あらかじめAI画像が含まれていると伝えています。それでも、研究では、平均的な判断能力は偶然に頼る水準を大きく上回らなかったと報告されています。
ただし、これは「正答率が50%だった」という意味ではありません。回答の確信の強さも含めて評価した結果です。また、実験は2024年6月に行われており、現在の最新AIを一斉に比較したものではありません。
注目したいのは、AI画像があると知って見ても、確実には見抜けなかったことです。「自分は気をつけているから大丈夫」とは言い切れません。
動画なら、動きの不自然さで見抜ける?
静止画が難しくても、動画なら動きが手掛かりになりそうです。人の歩き方や物の動きを見れば、違和感に気づけるかもしれません。
しかし、動画でも結果は一様ではありません。
11月1日に研究公開サイト「arXiv」で公開された論文では、87人が、実写とAI生成を半分ずつ含む36本の動画を判定しました。平均正答率は60%でした。
生成方法別に見ると、画像をもとに動きを付けた動画をAIだと見抜いた割合は79%。一方、文章から生成した動画では43%でした。実写を正しく実写だと判断した割合も64%にとどまっています。
この論文には2025年の国際会議への掲載が記されており、11月に実施された最新モデルの実験というわけではありません。また、限られた動画での結果なので、すべてのAI動画に同じ割合を当てはめることはできません。
それでも、興味深い点があります。AIを本物と思い込むだけでなく、本物をAIと思い込むこともあるのです。

「指が変だからAI」「自然だから本物」で決めていい?
指や文字の崩れ、途中で変わる物の形などは、確認するきっかけになります。
ただ、「不自然なところが見つからない」と「実際に撮影された」は同じではありません。逆に、見慣れない光景だからといって、AIで作られたとも限りません。
ここでは、二つの疑問を分けると整理しやすくなります。
- この画像や動画は、どのように作られたのか。
- 添えられた説明は、事実なのか。
例えば、実際に撮影された昔の大雨の映像でも、「今日、近所で起きた災害」と説明されていたら、その投稿は誤解を招きます。AI生成かどうかを当てても、日付や場所の間違いまでは解決しません。
大切なのは、画像の作り方だけでなく、その投稿が何を事実として伝えようとしているかを見ることです。
拡大して眺める前に、投稿の外側も確かめる
驚く画像を見つけたら、細部の間違い探しに入る前に、次の点を確認してみてください。
誰が最初に公開したのか。 転載したアカウントだけでなく、撮影者や発表元までたどれるかを見ます。
いつ、どこで撮られたものなのか。 投稿された日と撮影日は別です。画像検索で、同じ画像が以前から使われていないか調べる方法もあります。
別の情報でも確かめられるか。 災害や事件なら、自治体や関係機関の発表、報道などと照らし合わせます。同じ投稿のコピーが大量にあることと、複数の情報源で確認できることは違います。
これらを確認しても、わからないことは残ります。そのときは、本物かAIかを無理に決めず、共有を待つという選択ができます。

まとめ:「見抜ける目」だけに頼らない
画像や動画を見分ける研究は、人の判断が、素材や生成方法、見る条件によって変わることを示しています。
押さえておきたいのは、次の3点です。
- 注意して見ても、AI生成かどうかを確実に判定できるとは限らない。
- AIを本物と思うだけでなく、本物をAIと疑うこともある。
- 見た目に加えて、発信元・撮影時期・説明の根拠を確かめる。
次に「これ、本物?」と思う画像が流れてきたら、画面を拡大するだけでなく、その画像がどこから来たのかも見てみてください。
見分けられないときに、すぐ結論を出さない。 それも、AI時代の情報との付き合い方です。
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